いつまでに何をやる? Windows10導入の流れ(計画フェーズ)
2020年に到来するWindows7のサポート切れに備えて、多くの企業がWindows10への移行を進めています。みなさんの会社では、いかがでしょうか?
Microsoft社のサイトでは、Windows10導入の流れが、4つのフェーズに分けて紹介されています。
Windows10導入の流れ(4つのフェーズ)
目次
クライアント環境の確認
パソコン管理台帳のお話
利用アプリケーションの確認
移行計画の立案
展開方法の決定
インフラ管理方法の検討
Windows10導入の流れ(リンク集)
クライアント環境の確認
Microsoft社のサイトでは、まず「デバイスの台数、ハードウェア・OS の洗い出し」として、数量だけでなく、各アイテムのバージョンも確認するよう挙げています。
この第一段階が、実はハードルが高いという会社も、中にはあるのではないでしょうか。
- Windows XPの入れ替えの際に、ひととおり経験済み。
- 管理台帳で日頃からきちんと管理している。
- インベントリツールですぐに確認できる。
という場合は問題ないでしょうが、この第一段階「ハードウェア・OSの洗い出し」が、意外と手間のかかる部分かもしれません。
実際、この段階で、「管理台帳があやふやなことが分かったので、Windows10導入を機に、あわせて資産管理もしっかりやりたい」とうご相談をいただくケースもあります。(当社三菱HCキャピタルITパートナーズは、パソコンのレンタル以外に、IT資産管理サービスも提供しています。)
多部門、多店舗を抱える規模の大きな会社ほど、部門ごとにパソコンが購入されていたりして、情報システム部門で全体像を把握しきれない、という悩みがあるようです。
のちの『導入・展開フェーズ』では、専門業者へある程度アウトソーシングもできますが、この『計画フェーズ』は、社内のマンパワーで対応せざるを得ません。 そこで、なるべく効率的なやり方として、例えば、
管理台帳をパソコン利用者に確認してもらう
- 管理台帳のファイルをすべてのパソコン利用者(または各部門の責任者)に公開して、各自に確認してもらいます。
ここで、古い情報や不足情報があれば、最新情報に更新してもらいます。
このとき、各部門の責任者には、台帳に存在しないパソコンがないか、必ず確認してもらいましょう。あれば台帳へ追記してもらいます。(例えば、所有者があいまいな共有パソコンや、眠っている予備機など)
管理台帳が存在しない場合は
- インベントリツールを使って情報を収集し、ある程度のベースとなる台帳を作成してから、上記の方法で確認してもらいます。
- 企業によっては、パソコンの導入形態別(購入、リース・レンタル)に台帳が分かれているという話も聞きますので、それらの台帳をベースに、確認用の統合台帳を作る方法もあります。(これを機に、統合されたパソコン管理台帳を整備するのもいいかもしれません。)
インベントリツールも、ベースとなる台帳もない場合は
- 調査用紙を配布し、すべてのパソコン利用者に記入してもらい、それを集計して台帳化します。ただし、この方法は、かなりの労力と時間がかかるので、覚悟が必要です。
- (コストをかけても省力化したい場合は)非常駐型のインベントリツールを一時的に利用して、情報を収集する方法もあります。※
※ 当社は、非常駐型のインベントリツールを提供してパソコンの情報を収集するサービス『WebInfo(ウェブインフォ)』を提供しています。
三菱HCキャピタルITパートナーズのIT資産管理 棚卸サービス
(ちょっと脱線)パソコン管理台帳のお話
先ほど「ハードウェア・OSの洗い出し」の手法として紹介した「管理台帳をパソコン利用者に確認してもらう」という方法は、一見とても泥臭い作業に見えますが、ネットに接続されていないパソコンまで確認できるので、実はとても確実で有効な方法です。
(インベントリツールは便利ですが、ネットに接続されていないパソコンの確認ができない、という弱点があります。)
台帳はまだまだExcel管理という会社も多いでしょうが、これを機にクラウド化すれば、パソコン利用者がいつでも情報を確認、更新して、最新状態に保つことができます。
こうして常に最新化しておけば、今回のような「ハードウェア・OSの洗い出し」という急な業務が発生しても、クラウドの台帳からデータをダウンロードするだけです。実際、そのような背景もあって、世の中ではパソコン管理台帳のクラウド化が進んでいます。
三菱HCキャピタルITパートナーズのレンタルなら、クラウド管理台帳「DREAMS」が便利です
当社では『DREAMS(ドリームス)』というクラウドの管理台帳を、レンタル契約のオプションとしてお客様へ提供しています。当社のレンタル契約情報は、この台帳へ自動反映しますし、もちろん、他業者から購入、レンタル・リースしているパソコンの情報も登録できます。
ユーザーIDによって段階的なアクセス制限をかけられるので、確認してほしい部分だけをパソコン利用者に公開する、という使い方もできます。
また、インストールソフトウェアやライセンスの情報も登録できるようになっていますので、インベントリデータを連動させて、(ソフトウェアメーカーのライセンス監査に備えて)ライセンス管理に活用されているお客様もいらっしゃいます。
IT資産管理台帳 DREAMS DB
利用アプリケーションの確認
デバイスの次は、ユーザーや業務ごとに利用アプリケーションを確認します。
デスクトップアプリは、インベントリツールである程度確認できますが、Webアプリは、各部門で独自に使っているものがないか、調査が必要です。(その場合は、先の「クライアント環境の確認」と併せて実施するのもよいかもしれません。)
移行計画の立案
既存環境の確認が完了したら、移行に向けての計画を立てていきます。
Windows10では、年2回(3月と9月)のサイクルで、機能更新プログラム(FU)が配信され、バージョンがあがっていきます。
各バージョンのサポート期間は、リリースから18カ月(または30カ月※)ですので、「ようやく動作検証を終えて全社展開を終えた途端に、次のアップデートを実施しなければ」といった事態も想定されます。
FUの配信スケジュールも勘案して、導入する機種の選定、検証、導入準備を進めていかなければならず、従来のWindows OSに比べて、スケジュール策定はより複雑になります。
※ Enterpriseのサポート期間は、一部30カ月に延長されました。バージョン1903以降は、3月リリースなら18カ月、9月リリースなら30カ月となります。(2019年6月末時点の情報です)
エディション |
3月リリースのFU(バージョン**03) |
9月リリースのFU(バージョン**09) |
Pro |
リリース日から18カ月 |
Enterprise |
リリース日から18カ月 |
リリース日から30カ月 |
ここからは、新たにWindows10パソコンを導入することを前提にお話したいと思います。(既存のWindows7パソコンからアップグレードする場合のお話は、こちらのコラムをご参照ください。)
機種選定は、導入のターゲットとするバージョンを決めて、そこから逆算して、パソコンのモデルを決めることをお薦めします。それには、Microsoft社の情報と、各メーカーからの情報を集めて、情報を整理しなければなりません。スペックの比較だけでも手間のかかる作業なうえに、Microsoft社からは不定期に情報が発信されるので、話はより複雑です。
三菱HCキャピタルITパートナーズならではのノウハウとは
そこで当社は、お客様に代わって情報を収集し、お客様の用途にマッチした機器をご案内しています。日頃よりWindows10に関するMicrosoft社の姿勢はもちろん、各メーカーの動きにもアンテナを張っていますので、例えば、「このモデルはいつまで提供ができるのか」、「どのタイミングでメーカーへの注文が必要か」といった日頃は目に触れないような情報も踏まえて、お客様への機種提案、スケジュール調整を行っています。
これは、販売会社とレンタル会社、両方の機能を併せ持つ当社ならではのノウハウだと自負しています。
展開方法の決定
展開方法は、お客様の環境や目的に合わせて選択します。
詳しくは、過去のコラムをご参照ください。
プロビジョニングパッケージとマスター展開、どちらがよいの
インフラ管理方法の検討
Microsoft社のサイトでは、導入、展開後の運用管理手法も想定し、必要事項を確認しておくよう推奨されています。
その一部を、過去のコラムでご紹介していますので、よろしければご確認ください。
Win10基礎知識(1) 2つの更新プログラム(FU、QU)
Win10基礎知識(2) サービシングモデル
Win10基礎知識(3) 展開リングという考え方
Win10基礎知識(4) バージョンアップスケジュール
Windows10導入の流れ
Windows10導入の流れを、4つのフェーズに沿って、ご紹介しています。以下のリンクからご参照ください。
Windows10導入の流れ(4つのフェーズ)
(1) Windows10導入の流れ(計画フェーズ) ←本コラムはこちら
(2) Windows10導入の流れ(検証フェーズ)
(3) Windows10導入の流れ(導入・展開フェーズ)
(4) Windows10導入の流れ(運用管理フェーズ)
※ 本記事は、2018年12月時点の情報を基に作成しております。Microsoft社の方針によっては、変更が生じる場合がございます。
→2019年6月末時点の情報で更新しました。
さいごに
Windows10の導入は、情報システム部門にとってはかなりの負荷となりますが、これを機に、パソコン管理を見直し、不要なパソコンの処分や、パソコンの全社一括導入など、管理をスリム化するチャンスでもあるかもしれません。
継続的にバージョンがあがっていくWindows10は、導入して終わりではなく、情報システム部門には、継続的な運用の負荷がかかってきます。
そこで、アウトソーシングできる部分はなるべく外出しして、情報システム部門でしか対応できない業務へ集中できるよう、当社が少しでもお手伝いできればと思っています。
参考サイト
Microsoftサイト>Windows 7 をお使いの企業の皆様へ 知っておきたいWindows10導入のお話
Windows 11導入実態調査レポート(2023年版)
全国のPC担当者(従業員数500名以上の企業)400人に実施したアンケート調査レポートです。他社の導入状況や抱えているPC運用の課題と、三菱HCキャピタルITパートナーズならではの解決策をご紹介します。