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2025.07.17 PC関連知識

AI導入で業務効率化を実現。基礎知識と成功のための5ステップ

AIを導入したいけど、どこから始めればいいのかわからない」と感じている企業担当者は多いようです。AIは確かに強力なツールですが、成果を出すには正しい理解と計画的な導入が欠かせません。

本記事では、企業が業務効率化や課題解決のために導入するAIシステム(データ分析・予測、業務自動化、顧客対応、品質管理など)について、基礎知識からメリット・デメリット、導入のステップ、失敗しないためのポイントまでわかりやすく解説します。

Index

AI導入の基礎知識

AI導入のメリット・デメリット

AI導入の5ステップ

AI導入を成功させるための注意点と対策

まとめ

AI導入の基礎知識

AI(人工知能)とは、コンピューターが人間のような知的な判断や学習を行う技術で、データからパターンを見つけ出し、予測や分類、最適化などの業務を自動で実行できます。AI導入を検討する前に、まずは企業での活用可能性と日本の導入状況を理解しておきましょう。

企業でのAI活用領域と期待される効果

企業において、AIは既に業務効率化から新たな価値創造まで幅広い領域で展開されています。具体的には、売上予測や在庫最適化などのデータ分析・予測、書類作成や承認フローなどの業務自動化、チャットボットによる顧客対応、製品検査などの品質管理向上などが代表例です。AIの活用により、今後更なる生産性向上とコスト削減を同時に実現できる効果が期待されています。

日本企業のAI導入状況

総務省の2024年調査によると、日本で生成AIを「活用する方針を定めている」企業は42.7%でした。これは米国、ドイツ、中国の約8割と比較すると約半数にとどまっており、日本企業のAI活用は他国に後れを取っている状況です。

日本で導入が進まない背景としては、「社内情報の漏洩などセキュリティリスクが拡大する」、「著作権等の権利を侵害する可能性が有ると思う」と考える企業が多いことがその一因となっているようです。とはいえ、日本でも「業務効率化や人員不足の解消につながる」「ビジネスの拡大や新たな顧客獲得につながる」など、肯定的な意見を持っている企業も数多くいるため、今後次第に普及が進んでいくものと思われます。

出典:総務省|令和6年版情報通信白書(参照:2025年7月10日)

AI導入のメリット・デメリット

AI導入の可否を判断するには、期待できる効果と想定されるリスクを両面から検討することが重要です。ここではAI導入のメリット・デメリットを解説します。

AI導入で得られる5つのメリット

業務効率化・生産性向上

AIは人間が行っていた反復的な業務を高速で処理し、24時間365日稼働し続けることができます。たとえばデータ入力や書類作成、スケジュール調整などの定型業務を自動化することで、従業員はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。

人手不足の解消・労働力の最適化

少子高齢化により深刻化する人手不足問題に対して、AIは有効な解決策となります。とくに24時間対応が必要な顧客サポートや、単純な繰り返し作業、大量データの処理などの人員確保が困難な領域で、AIによる代替や支援が進んでいます。

コスト削減効果

AI導入には初期投資が必要ですが、中長期的には大幅なコスト削減が期待できます。業務自動化により残業時間や人件費が削減されるほか、予測精度の向上による在庫コストや廃棄ロスの削減なども実現できます。

ヒューマンエラーの削減・品質向上

ヒューマンエラーをAIが防ぐことで、業務品質の安定化と向上が図れます。とくに計算処理や検査業務、データ処理などの精度が要求される分野で効果を発揮します。

データ分析・意思決定の高度化

膨大なデータを短時間で分析し、人間では発見できないパターンや相関関係を見つけ出すことでより精度の高い経営判断や戦略立案が可能になります。これにより、より精度の高い経営判断や戦略立案が可能になり、競争優位性の確保につながります。

AI導入時に注意すべき4つのデメリット

AI人材確保が難しい

AI導入と運用には専門知識を持つ人材が不可欠ですが、AI人材は市場で不足しており、確保が困難な状況です。社内での人材育成には時間がかかり、外部からの採用には高いコストが発生します。

こうした人材不足の影響で、導入したAIシステムの性能を十分に引き出せなかったり、データの前処理や分析結果の解釈が適切に行えなかったりするリスクが生じます。さらに、システムトラブル時に対応ができずに業務が停止する恐れもあるでしょう。

導入・運用コストが発生する

AIシステムの導入には相応の初期投資が必要で、AIツールやサービス自体の導入費用、必要なハードウェアの調達費用、従業員の教育・研修費用などが発生します。また、運用開始後も継続的にライセンス費用やメンテナンス費用、アップデート費用がかかります。とくに、高度な機能を持つAIシステムは、月額料金や利用料金が高額になる傾向があります。

セキュリティリスクの増大

AIに大量のデータを扱わせる際は、適切なセキュリティ対策が必要不可欠です。とくに顧客情報や企業機密を含むデータを処理する場合、情報漏洩や不正アクセスがあった際の影響は甚大になります。また、個人情報の目的外利用にならないよう十分な注意が必要です。

AIの判断責任の所在が不明確

AIは時として誤った判断や予測を行うことがあります。誤判断が発生したとき、その責任が誰にあるのかが不明確になるリスクがあります。重要な意思決定をAIに完全に依存せず、最終的な判断は人間が行う体制を整備することが重要です。そのうえで、システムの不具合やAIの誤判断によるトラブル発生時の責任の所在や対応方針を事前に明確にしておく必要があります。

AI導入の5ステップ

実際にAI導入を進める際の具体的な手順を、準備段階から運用まで段階的に解説します。

ステップ1:目的・課題の明確化と現状分析

AI導入をスムーズに行うには、明確な目的設定と現状把握が不可欠です。まず、解決したい課題を具体的に特定し、AI導入により達成したい目標を数値化して設定します。

現状分析では、既存の業務プロセス、データの種類と量、システム環境、人的リソースを詳細に把握します。「なぜAIが必要なのか」「AI以外の解決方法はないのか」を慎重に検討し、AI導入の必要性と妥当性を確認することが重要です。

また、この段階で、プロジェクトの範囲、予算、スケジュール、成功指標(KPI)を設定し、関係者間で合意形成を図っておきましょう。

ステップ2:AI活用方針の決定と体制構築

目的が明確になったら、具体的なAI活用方針を決定します。既存のAIサービスを利用するのか、カスタマイズが必要なのか、完全に独自開発するのかを検討し、自社のニーズと予算に最適な方法を選択します。

プロジェクト体制の構築では、プロジェクトマネージャー、AI技術者、業務担当者などの役割分担を明確にします。社内にAI専門人材がいない場合は、外部パートナーとの連携も視野に入れると良いでしょう。

ステップ3:システム要件定義と設計

AI活用方針に基づき、システムの詳細要件を定義していきます。必要な機能や性能、セキュリティ、運用に関する要件を具体的に設計し、技術的な実現方法を検討します。

あわせて、AIの学習に必要なデータ要件の明確化も重要です。データの種類、量、品質、収集方法を整理し、既存データの活用可能性を評価しましょう。不足がある場合は、新たなデータ収集方法の検討が必要です。

また、システム設計の段階では、既存システムとの連携方法やセキュリティ対策、バックアップ体制なども含めた総合的な設計を行いましょう。

ステップ4:導入・テスト・検証

設計に基づいてAIシステムの構築を開始します。

テスト段階では、機能テスト、性能テスト、セキュリティテストを実施し、要件通りの動作を確認します。とくにAIの予測精度や判断結果の妥当性を慎重に検証し、業務で実用できるレベルに達しているかを評価します。

ステップ5:本格運用と継続的改善

テストで問題がないことを確認したら、本格運用を開始します。運用開始時は、システムの監視体制を強化し、予期しない問題に迅速に対応できるよう準備します。

AIシステムは運用開始後も継続的な改善が必要です。新しいデータによる学習、モデルの更新、機能の追加などを定期的に実施し、精度と効果の向上を図ります。

運用効果の測定も重要なので、設定したKPIに基づいて定期的に効果を評価しましょう。

AI導入を成功させるための注意点と対策

AI導入を成功に導くため、実践的な対策とポイントを解説します。

AI導入でよくある3つの失敗パターン

目的・課題が不明確なまま導入してしまう

「とりあえずAIを導入したい」というあいまいな動機でプロジェクトを開始すると、目標設定が不明確になり、効果測定ができません。具体的な課題と数値目標を明確に設定し、定期的に進捗を評価することが必要です。

現場の理解・協力を得られずに進めてしまう

AI導入により業務が変わることに対する現場の不安や抵抗を軽視すると、導入後の運用がうまくいきません。事前の説明と教育によりAIは業務を支援するツールであることを理解してもらい、現場を巻き込んでプロジェクトを推進することが重要です。

運用体制・人材育成を軽視してしまう

AIシステムの構築にばかり注力し、運用体制の構築や人材育成を後回しにしてしまうと、導入後にさまざまな問題が生じる恐れがあります。たとえば、AIの精度が低下しても原因を特定できなかったり、新しいデータに対応できずシステムが正しく動作しなくなったりなどです。

こうした事態を防ぐために、導入段階から運用を見据えた体制構築と人材育成計画を立案し、計画的に実行していくことが大切です。

導入前に準備すべきインフラ・環境整備

AI導入を成功させるには、適切なITインフラ環境の整備が欠かせません。AI処理には大量の計算リソースが必要で、従来のオフィス用PCでは処理能力が不足する場合があります。NPUNeural Processing Unit)搭載のAI PCや高性能ワークステーション、クラウド環境の活用を検討し、必要な処理能力を確保することが重要です。

また、AIの学習に使用する大容量データを安全に管理できるストレージ環境や、セキュリティを保ちながら効率的にデータ共有できるネットワーク環境の構築も必要です。AI導入の検討とあわせて、AI処理に適したPCIT環境の見直しも進めましょう。

弊社では、AI処理に必要な高性能PCについても、調達から処分までトータルでサポートするPCLCMPCライフサイクルマネジメント)サービスの提供が可能です。お客様のAI導入プロジェクトにお役立てください。

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AI人材の確保と社内体制の構築方法

AI人材は市場で不足しているため、すべてを社内で確保するのは困難です。重要な部分は社内人材で担い、必要に応じて専門性の高い部分は外部との連携で補完する体制を検討するのも良いでしょう。

社内人材の育成では、既存のIT人材やデータ分析担当者を対象に、AI関連のスキル向上を図ります。また、AI専門人材だけでなく、現場の業務担当者もAIに関する基礎知識を身につけることで、効果的な活用と運用が可能になります。

まとめ

AI導入は競争力の強化や業務効率化に大きく貢献しますが、その効果を最大限引き出すには十分な準備と計画的な導入が欠かせません。まずは自社の課題を明確にし、メリット・デメリットを整理したうえで、段階的に進めていくことが重要です。

また、AI処理に適したインフラ環境の整備も不可欠です。AI導入の検討とあわせて自社PCIT環境の見直しも進めましょう。

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