Microsoft Copilot(コパイロット)は、日々の業務を効率化する業務支援AIツールとして注目を集めています。ChatGPTなどの汎用AIとは異なり、Microsoft 365製品と連携し、Word、Excel、PowerPointなどの作業を直接サポートできる点が大きな特徴です。
本記事では、Copilotの基本的な仕組みから操作方法、業務での活用例、導入時の注意点まで、初心者でも理解できるように詳しく解説します。AIを活用した業務改善を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
※ 本記事では、ビジネス利用を前提とした有料プランMicrosoft 365 Copilotの機能を中心に解説しています。一部機能は無料プランでは利用できない、または制限されている場合がある点にご注意ください。
Microsoft Copilotの使い方‐初心者向け基本操作から業務活用、プロンプト例まで
1. Copilotとは?
Microsoft Copilotは、OpenAI社のGPTなどをベースとした業務支援AIツールです。文章作成からデータ分析まで、幅広い業務のサポートが可能で、業務の効率を大幅に向上させることができます。
1-1. Copilotの特徴と強み
Copilotの最大の強みは、自然な会話形式で複雑な作業を依頼できることです。GPT-4 Turboを搭載しており(2025年9月時点)、文脈を理解した高品質な回答を生成します。従来のソフトウェアでは複数の手順が必要だった作業も、Copilotなら「〇〇について資料を作って」といった指示だけで自動化することが可能です。
また、Microsoft 365アプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams、OneNoteなど)との連携により、アプリを切り替えることなく横断的な作業サポートを受けられます。EdgeブラウザやBing検索でも利用でき、ウェブブラウジング中の情報の要約や整理にも役立ちます。
さらに、CopilotはChatGPTのような汎用的な対話機能も備えており、ウェブブラウザやアプリから直接質問・相談することも可能です。これにより、専用アプリでの対話から、業務アプリでの作業支援まで幅広く活用できます。
1-2. ChatGPTとの違いとCopilot独自の価値
ChatGPTとCopilotは同じOpenAI技術を使用していますが、大きな違いがあります。 ChatGPTは汎用的な対話型AIとして機能しますが、Copilotはそれに加えMicrosoft製品に特化した業務支援機能を持つ点で差別化されています。
具体的には、Copilotは既存のExcelファイルを読み取って分析したり、Wordで執筆中の文書に直接修正提案を行ったりできます。また、企業向けプランでは組織内のデータにアクセスし、より実用的な提案が可能です。一般的なAIツールと異なり、日常的な業務フローに組み込みやすい設計となっています。
Copilotの基本情報については、以下の記事で詳しく解説しています。
2. Copilotでできること|業務効率化の具体例
Copilotは単なる質問回答ツールではなく、実際の業務プロセスを変革する可能性を持っています。ここでは、具体的な活用シーンを紹介していきます。
※ 以下で紹介する高度な機能の多くは、Microsoft 365 Copilot(有料版)で利用可能です。無料版では基本的な対話機能が中心となり、機能や精度に制限が生じます。
2-1. 文章作成・要約(Word/Outlook)
Word上では、企画書や報告書の下書きから校正まで幅広くサポートします。たとえば「新商品の企画書を作成して」と指示すれば、構成案から具体的な文章まで自動生成が期待できます。
Outlook上では、メール文面の作成が大幅に効率化されます。たとえば「会議の延期を丁寧にお詫びするメールを書いて」といった指示で、適切なビジネスメールが完成します。また、長文メールの要約機能により、重要なポイントを素早く把握することも可能です。
2-2. データ整理・表作成(Excel)
Microsoft 365環境のExcelでは、データ分析から可視化まで自動化できます。売上データから「前年同期比の成長率をグラフで表示して」と指示すれば、適切なグラフの自動作成が期待できます。
また、複雑な関数の作成も簡単になります。「条件に応じて異なる計算式を適用したい」といった要望に対して、LOOKUP関数やIF文を組み合わせた式を提案してくれます。さらにデータのクリーニングや整形作業も、指示を出すだけで効率的に処理することが可能です。
2-3. 会議・業務整理(Teams/PowerPoint)
Teams会議では議事録作成が自動化されます。会議中の発言内容から要点を抽出し、決定事項やアクションアイテムを整理した議事録を生成できます。これにより、会議後の作業負担を大幅に軽減することができるでしょう。
PowerPoint上では、企画内容を伝えるだけでプレゼンテーション資料が作成できます。たとえば「AI活用による業務改善」というテーマから、構成案、スライドデザイン、説明文まで一括で提案されます。資料の修正や追加も、自然な指示で対応可能です。
3. Copilotの使い方|起動の手順
Copilotを実際に使い始めるための具体的な手順を解説します。CopilotはWindows 11に標準搭載されているほか、Webブラウザやスマートフォンアプリからも利用できます。
3-1. Windows 11でのCopilot起動方法
Windows 11が最新の状態にアップデートされていれば、Copilotは自動的にインストールされています。
起動方法は2つあり、タスクバーのCopilotアイコンをクリックする方法と、スタートメニューで「Copilot」と検索してアプリをクリックする方法です。Windows 11 23H2以降では「Copilot in Windows」として実装されており、画面右側にCopilotが表示される仕組みになっています。
3-2. Edge/Bing上での起動方法
EdgeブラウザではCopilotが統合されており、右上のCopilotアイコンから利用できます。このボタンをクリックすると、ブラウザ画面の右側にCopilotがポップアップ表示されます。
アイコンが見当たらない場合は、右上の「...」から「設定」→「サイドバー」→「Copilot」で「ツールバーの[Copilot]ボタンを表示する」をオンにしてブラウザを再起動してください。また、bing.comから検索ボックス横のCopilotアイコンをクリックしてアクセスすることも可能です。
3-3. スマートフォンでの利用方法
CopilotはスマートフォンアプリとしてAndroidとiPhoneに対応しており、Google PlayやApp Storeから無料でダウンロードできます。
iOSまたはAndroid向けの「Microsoft Edge」アプリ、Android専用の「Microsoft Copilot」アプリ、または「Bing」アプリからアクセス可能です。アプリをダウンロードして位置情報の利用に同意すれば、AIアシスタントのチャット画面がすぐに表示されます。
4. Copilotの使い方|プロンプト操作と活用のコツ
Copilotを効果的に活用するには、適切な指示の出し方を理解することが重要です。ここでは、より良い結果を得るためのコツを詳しく解説していきます。
4-1. チャット形式での質問・指示の基本
Copilotとのやり取りは、人間との会話と同じように自然な言葉で行えます。ただし、より良い結果を得るには、明確で具体的な指示を心がけることが大切です。曖昧な表現よりも、目的や条件を明確にした指示を出すことで、期待に近い成果物を得ることが可能になります。
4-2. プロンプト入力のコツとNG例
効果的なプロンプトにするためには、目的、対象、条件を明確に含めることが重要です。たとえば、良い例として、「営業チーム向けに、新商品の特徴を3点にまとめた提案資料を作成して」といった指示が挙げられます。
一方、「いい感じの資料を作って」「適当に分析して」といった曖昧な指示では、期待した結果を得られません。また、一度に複数の複雑な作業を指示するよりも、段階的に進めた方が、より高い精度の回答が得られます。
良いプロンプトの例
例1:「前四半期の売上データから、商品カテゴリ別の成長率を計算し、上位3カテゴリをグラフで可視化してください。マーケティング会議で使用する予定です。」
データ(前四半期売上)、処理内容(成長率計算、グラフ作成)、条件(上位3つ)、用途(マーケティング会議)が明確に示されたプロンプトになっています。
例2:「新入社員向けに、当社の働き方改革の取り組みを3つのポイントで説明する資料を作成してください。各ポイントは具体例を含めて200字程度で記載してください。」
対象者、内容の構成、文字数制限を明確にすることで、期待する成果物を正確に指定しています。
悪いプロンプトの例
NG例1:「売上を見て」
改善案:「2024年1-3月の売上データを月別に集計し、前年同期との比較表を作成してください。」
この例の問題点は、対象期間、処理方法、出力形式が不明確な点です。改善案では具体的な条件を追加し、明確な成果物を指定しています。
NG例2:「いい感じのプレゼンを作って」
改善案:「営業部門向けに、新商品Aの特徴と競合比較を10スライド程度でまとめたプレゼンテーション資料を作成してください。顧客メリットを強調する構成でお願いします。」
曖昧な表現を避け、対象者、内容、ボリューム、重点項目を明確に指定することで、より適切な結果を得られます。
4-3. その他便利機能の活用
Copilotは、前回の回答に対して「もう少し詳しく」「別の視点で」といった追加指示を受け付けることができます。このフォローアップ機能により、段階的に理想的な成果物に近づけることが可能です。
また、画像をアップロードして内容の説明や分析を依頼することもできます。グラフや図表の読み取り、写真からの情報抽出など、視覚的な情報処理でも効果を発揮するでしょう。
さらに、長文の要約機能や複数言語での翻訳機能も活用でき、国際的なビジネス文書の処理にも対応しています。音声入力機能を使えば、移動中や会議中でも効率的に指示を出すことが可能で、多忙なビジネスパーソンの生産性向上に大きく貢献します。
5. 導入前に知っておくべき注意点とPC要件
Copilotを導入する前に確認すべき制限事項や必要な環境について解説します。特に法人利用では、技術要件とセキュリティ面での準備が重要になります。
5-1. Copilotの回答精度と限界
Copilotは高性能なAIですが、完璧ではありません。特に専門的な知識や最新情報については、事実確認が必要な場合があります。また、創作的な内容では、意図しない表現や偏見が含まれる可能性もあることを理解しておく必要があります。
さらに、重要な業務文書や意思決定に関わる分析結果については、人間による最終チェックを必ず行いましょう。Copilotは効率化ツールとして活用し、最終的な責任は人間が負うという前提で運用することが大切です。
5-2. Copilotの動作環境と制限事項
CopilotはWindows 11とインターネット接続が必要となります。Microsoft 365アプリでの高度な連携機能を利用するには、対応するライセンスが必要です。
基本的なシステム要件
Microsoft 365 CopilotはWindows、Mac、ウェブ、iOS、Androidで利用可能ですが、Windows版ではWindows 11の最低システム要件(1GHz以上のCPU、2コア以上、4GB以上のメモリ)を満たす必要があります。
ネットワーク接続の要件
画像生成などの一部機能はインターネット接続が必要な一方、リアルタイム翻訳などの機能はローカルで動作します。Microsoft 365 CopilotはWebSocket接続を適切に許可する必要があり、企業環境ではMicrosoft 365エンドポイントがブロックされていないことを確認することが重要です。
主な利用制限
Microsoft公式情報によると、Microsoft 365 CopilotはExchange Onlineの主要メールボックスでのみサポートされ、共有メールボックスでは利用できません。また、Teamsでの会議内容参照には転写機能または会議録画の有効化が必要になります。
5-3. Copilot活用に必要なPCスペックと調達方法
基本的なCopilot利用には、Windows 11の最低システム要件(4GB以上のメモリ)が必要です。ただし、より高度なAI機能を活用したい場合は、Copilot+ PC要件(16GB以上のメモリ)を満たすことを検討してください。
Copilot+ PCとは、Microsoft社が定義する新しいカテゴリのPCで、毎秒40兆回以上の演算(40TOPS以上)を処理可能なNPU(Neural Processing Unit:AI専用プロセッサー)を搭載し、リアルタイム翻訳や画像生成などの高度なAI機能をローカルで実行できるPCです。通常のCopilot機能はクラウド経由で動作しますが、Copilot+ PCではより高速で、プライバシーに配慮したAI処理が可能になります。
このようなCopilot+ PC対応機種は高性能である一方、1台あたり数十万円と導入コストが高額になる傾向があります。また、AI技術の進歩は非常に速く、数年後にはより高性能なハードウェアが標準となる可能性が高いため、長期的な投資計画が立てにくいという課題もあります。さらに、社内でのPC管理やメンテナンス、故障時の対応など、運用面での負荷も考慮する必要があります。
こうした課題に対する有効な解決策として、PCレンタルサービスの活用があります。初期投資を大幅に抑えながら最新スペックのCopilot+ PCを導入でき、技術進歩に応じた機器更新にも柔軟に対応できます。
保守・メンテナンスを含めた総合的なサポートにより、管理負荷を軽減しつつ、常に最適な体制でCopilotを活用できる環境を構築することが可能です。
Copilot活用に適したPC調達の際には、ぜひPCレンタルをご検討ください。
※ 本記事は、2025年9月時点の情報をもとに作成しています。Microsoft社の方針によっては、変更が生じる場合があります。
まとめ
Microsoft Copilotは、GPTなどの大規模言語モデルを基盤とした業務支援AIツールであり、Microsoft 365製品との連携により業務効率化を強力にサポートします。ChatGPTと同様の汎用的な対話機能を持ちながら、Word、Excel、PowerPointといったアプリケーションに直接組み込んで利用できる点が大きな特徴です。
一方で、効果的に活用するには、明確で具体的なプロンプトの作成が重要です。また、AIの回答をそのまま採用するのではなく、重要な業務では必ず人間による最終確認を行う必要があります。さらに法人での導入を検討する場合には、セキュリティ対策とともに適切なPC環境の整備が欠かせません。
三菱HCキャピタルITパートナーズでは、Copilot活用に最適なPC環境の提供から運用支援まで、包括的なPCLCMサービスを展開しています。特にCopilot+ PC対応機種をレンタルで導入することで、最新技術への投資負荷を軽減しながら常に最適な環境を維持できます。
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