経済産業省を始めとした行政による推奨もあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に着手する企業が増加しています。IPA(独立行政法人情報処理機構)が公開しているDX動向(旧 DX白書)によると、日本でDXに取り組んでいる企業の割合は、2021年度調査の55.8%から、2022年度調査では69.3%、2023年度調査では73.7%に増加し、着実にDXが企業に浸透しています。
一方で「DXに成果が出ている」と回答した企業は64.3%にとどまります。同調査では「DXに取組むにあたっての課題」について、人材不足や企業風土などが上位課題に挙げられており、DX推進に意欲があったとしても、これらの課題が障壁となり、DXを推進して成果を出すことに難しさを感じる企業が多いのではないでしょうか。
※IPA(独立行政法人情報処理機構)|DX動向2024(2025/3/14参照)
DX推進に必要な人材とは
DX推進に必要な人材は、経済産業省およびIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公開する「DX推進スキル標準」にまとめられています。DX推進で求められる人材は、デジタル技術に精通した人材だけでは不十分であり、自社のビジネスを理解した上で、DX実現に向けて具体的な取り組みを実行できることが欠かせません。
- 自社の事業や業務プロセスを理解している
- 各担当者と協働関係を構築し、プロジェクトをリードできる
人材不足の理由
DX推進には、外部人材(コンサルタントやエンジニアなど)を活用する方法もありますが、新しく参入した外部人材がいきなりDXの目的である「組織、プロセス、企業文化・風土の抜本的な改革」を達成するのは困難です。DXを推進するためには、現状と課題を把握して、その解決手段が自社の「組織、プロセス、企業文化・風土」にあっているかを判断する必要があり、社内をよく知るIT人材である既存社員を有効活用することが欠かせません。
ただ、社員をIT・デジタル人材として活用する場合、
- 既存のIT人材はDX推進以外の業務にリソースをとられている
- IT人材への育成は容易ではなく、短期間での育成も難しい
などの理由から、十分な人材が確保できていない企業も多く見られます。人材不足解消のためには、IT・デジタル活用の知識や経験を持つ既存IT人材の業務安定化とリソース確保をしたうえで、DX推進へシフトを促すことが重要です。