2025年3月19日更新
法人PCの処分を検討する際、データの安全性は極めて重要な課題です。単純な初期化やゴミ箱からの削除だけではデータは完全には消去されず、情報漏洩のリスクが潜んでいます。
この記事では、法人PC処分時に自分でデータを消去する方法とその危険性、おすすめの廃棄方法について解説します。データ漏洩を防ぎ、セキュアな処分方法を選択するための参考にしてください。
2025年3月19日更新
法人PCの処分を検討する際、データの安全性は極めて重要な課題です。単純な初期化やゴミ箱からの削除だけではデータは完全には消去されず、情報漏洩のリスクが潜んでいます。
この記事では、法人PC処分時に自分でデータを消去する方法とその危険性、おすすめの廃棄方法について解説します。データ漏洩を防ぎ、セキュアな処分方法を選択するための参考にしてください。
データを消去する際 、単にファイルを削除したり、初期化を行ったりするだけでは、データは完全に消去されたわけではありません。これらの操作は、データにアクセスするための「目次」を削除するだけで、実際のデータ本体はハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)に残存しています。
専門のソフトウェアを使用すれば、これらの残存データを容易に復元することが可能です。
つまり、初期化やゴミ箱への移動だけでは、企業の機密情報や顧客の個人情報が漏洩するリスクが依然として高い状態と言えるでしょう。そのため、PCの廃棄や譲渡の前に、より確実なデータ消去方法を選択することが重要です。
データ消去の失敗による情報漏洩事件は実際に発生しています。例えば、中古PCから個人情報が流出した事件では、初期化されたHDDから個人情報が復元され、大きな問題となりました。また、地方自治体においても、廃棄PCからの情報漏洩事件が発生しており、データ消去の重要性が改めて認識されています。
「初期化」と「データ消去」はしばしば混同されますが、実際には異なる操作です。初期化は、OSの再インストールや工場出荷状態への復元など、PCを元の状態に戻す操作を指します。
一方、データ消去は、 HDDやSSDに記録されたデータを復元不可能な状態にする操作です。
初期化はデータへのアクセスを困難にする効果はありますが、データ自体は残存しているため、復元される可能性があります。そのため、PCを廃棄・譲渡する際には、初期化ではなく、適切なデータ消去を行うことが重要です。
操作 | 内容 | データの残存 | 復元の可能性 |
---|---|---|---|
ファイル削除/ゴミ箱移動 | ファイルシステム上のエントリを削除 | データ本体は残存 | 高 |
初期化 | OSの再インストール、工場出荷状態への復元 | データ本体は残存 | 中 |
データ消去 | データ本体を上書き、物理的に破壊 | データ本体は消去または破壊 | 低/不可能 |
法人PCには 、顧客情報、社内の機密資料、個人データなど、多くの重要な情報を含んでいます。このデータが外部に漏れると、ビジネス機会や企業の信頼性を大きく損なうだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。
そのため、確実なデータ消去は、情報漏洩を防ぐ上で不可欠なプロセスと言えます。
法人PCを処分する際に、自社でデータを消去するやり方も存在します。主な方法としては、以下の3つが挙げられます。
専用ソフトウェアを使うと、無意味なデータで上書きすることで 、復元不可能な状態にすることができます。
専用ソフトウェアを用いる方法は、データを安全に消去できる上に、比較的低コストで実施できる点が大きなメリットです。専用ソフトウェアは様々な消去基準に対応し、さらに消去後の報告書を提供するものもあるため、確実性を求める企業に適しています。
専用ソフトウェアを使う際は、正しい手順を踏まなければ完全な消去が保証されない点に注意が必要です。また、古いバージョンのソフトウェアを使用すると、最新のストレージデバイスに対応していない場合があり、適切な消去ができない可能性があります。さらに、ソフトウェアでは無意味なデータを上書きする消去形式のため、ハードディスクの容量が大きいほど書き込みにかかる時間も長くなり、大量のPCを消去する際には時間を要する可能性があります。
PCを処分する際に使う専用装置として、磁気消去装置やハードディスククラッシャーがあります。
ハードディスクは磁性体で記録されているため、磁気消去装置は強力な磁場を発生させて記録媒体の磁性体を無効化することで、データを消去できます。また、ハードディスククラッシャーはその名の通り、ハードディスクを物理的に破壊する装置です。
装置 | メリット | デメリット |
---|---|---|
磁気消去装置 | ハードディスク上のデータを瞬時に消去でき、手間がかからない。 (従来はハードディスクを個別に取り外す手間がかかっていたが)大型の装置であれば、PCをそのまま装置に入れて磁気を照射することで、簡単にデータ消去が可能。 |
ドライブ以外の機器も損傷を受ける可能性があるため、データが実際に消去できたかどうかの確認が難しい。 最近のハードディスクは磁気に対して遮蔽された構造のものも出てきているため、より強力な磁界が必要な場合もある。 |
ハードディスククラッシャー | ハードディスクを物理的に破壊するため、データ復旧が不可能になる。 | 破壊した後にゴミが大量に出るため、廃棄について考慮が必要。 物理的な破壊作業が必要となるため、作業者の安全に配慮する必要がある。 |
ハードディスクを破壊するには、ドリルやハンマー、シュレッダーなどを使って物理的に壊す方法もあります。電動ドリルを使ってハードディスクのプラッタと呼ばれる記録媒体に穴を開けたり、シュレッダーでハードディスクを裁断したりします。
ハンマーでハードディスクを叩き壊す方法は、専門の装置を使用しないため、費用を抑えることができます。また物理的に破壊することで、ハードディスクに穴が開いたり記録面が曲がったりしているのを目視できるため、ソフトウェアを使った場合に比べて一目で破損を確認できます。
プラッタを完全に破壊するには複数の穴を開けなければならないので、完全に破壊できていないとデータが復元される可能性があります。さらに、ハードディスク自体も頑丈なため、ハンマーで完全に破壊するにはかなりの力が必要です。また、物理的に破壊する場合はゴミが出るのに加えて、法人が廃棄するハードディスクは産業廃棄物扱いになるため、その処分方法も検討しなければいけません。
ここまで個人でPCデータを消去する方法を紹介しましたが、実際に自社でやるには現実的でない方法もあり、確実にPCデータを消去するならば業者へ依頼するのが安全です。特に法人PCの場合、ハードディスクには顧客情報や社員情報など、機密情報が含まれているため、データ消去には万全を期す必要があります。 そのため専門の業者に依頼して、安全確実にデータを消去することがおすすめです。
専門業者にデータ消去を依頼することは、高度な技術と経験を持つプロフェッショナルが作業を行うため、消去の確実性が非常に高くなります。物理破壊やデータ消去ソフトウェアの活用など、要件に合わせた最適な方法でデータ消去を実施してくれます。
また、作業の透明性を確保し、信頼性を高めるために、データ消去作業証明書を発行してくれる業者もあります。
さらに、 専門業者に依頼することで、自社でデータ消去を行う際の手間やリスクを大幅に削減できる点も大きなメリットです。
デメリットとしては、コストが自分で行う方法に比べて高くなる可能性がある点です。業者によって料金体系は異なりますが、データ消去の対象となるハードディスクの本数やデータ消去の方法、証明書の発行有無などによって費用が変動します。
また、過去に業者による情報漏洩事件も発生していることから、セキュリティ体制や取り扱い実績、再委託の有無などの条件をよく確認し、信頼のおける業者に依頼する必要があるでしょう。
法人PCの処分は、適切なデータ消去なしには完了しません。データを消去するには専門のソフトウェアや専用装置を使うほか、ハンマーや電動ドリルなどを使って物理的に破壊する方法が考えられます。自分で行うこともできますが、完全にデータを消去するのであれば、知識と実績のある専門業者へ依頼するのが良いでしょう。
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